気温が高くなるといつものコーヒーも冷たいものに変えたくなる。そんな季節がやってきた。

ここ数年、ゴールデンウィーク前に各地で夏日を記録するような暑さ先取りの気候が続いているためか、今年も4月に突然の夏日に帰宅すると母がアイスコーヒーを淹れてみたところ美味しくできなかった…とレシピを聞いてきた。いつも私がいる時に淹れていたり、ボトルのアイスコーヒーを買って飲んでいた母も突然の暑さに自分で淹れてみようと思ったとか。

一般的にアイスコーヒーはドリップコーヒーと同じ要領で淹れたコーヒーを氷で冷たくするものが多い。

サーバー下から加熱するタイプのコーヒーメーカーを使っている方以外は、サーバーやカップに出来上がり予定量のところまで先に氷を入れてドリッパーをセットし、豆の分量はいつも通りとし、お湯を注ぐと熱々のコーヒーが氷と触れることで急冷され、香り高いアイスコーヒーが出来上がる。

*コーヒーメーカーを使用の場合は、お湯の量が半分になるように水を減らしてセットして、抽出完了後氷を入れたカップにすぐ注ぐことでアイスコーヒーが作成可能

7〜8年前頃から「コールドブリュー」という抽出方法がコーヒーチェーン店などで見られるようになり、今ではペットボトルタイプまで発売されていて、その名前を耳にしたり目にする機会が増えた。私が初めて口にしたのは実に四半世紀ほど前。当時は「水出しコーヒー」と書かれていたメニュー。いわゆる喫茶店で見つけて注文した私に、一緒にいた友人が「何もわざわざ水出しなんて頼まなくても…」と言った。

「初めて見たから、飲んでみたいの」と。

全くコーヒー業界とは無縁の仕事をしていた頃のこと。味は思ったほどの感動はなく、でも悪くないな、という程度。それが今ではコールドブリューコーヒーという英語名で広まっている、抽出技術を伴わないお手軽に自宅で作成できるアイスコーヒーとしても馴染みのある抽出方法となった。コールドブリューと言うだけあって、熱とは無縁の抽出をすることで、実はカフェイン抽出量も減るということを知っているだろうか。

カフェインレスコーヒーではなく、通常のコーヒー豆で抽出されるカフェインが減るということを考えると、少しだけカフェインを控えたい、というような時におススメの抽出方法でもある。ビターテイストのコーヒーが好きな方は、主に深煎りの豆を選ぶと、コールドブリューでも十分飲み応えのあるコーヒーが出来上がる。

香り重視の方は華やかさのあるナチュラル(乾燥式)の豆を選ぶとコールドブリューでも香り高いコーヒーが味わえる。そして、ちょっと古くなってしまった豆を我慢してホットコーヒーとして飲むより、コールドブリューコーヒーとして作る方が、意外と美味しく飲めるということもコールドブリューコーヒーの強み。
分量はホットコーヒーの時と同じ比率が望ましいが、コーヒー販売店で特別な比率で作成するようにブレンドやグラインドされた物もあるので、お店で抽出の比率を確認すると、より美味しいコーヒーがご自宅で楽しめるようになる。

今年の夏は、コールドブリューコーヒーに挑戦してみませんか?

投稿者プロフィール

中島靖代
中島靖代コーヒーライター
某大手コーヒーチェーンにて、9年間バリスタを経験。
コーヒーセミナーをはじめ、アルバイト教育も実施。コーヒーと言えばエチオピアというほど、エチオピアコーヒーを愛してやまないコーヒー愛飲家。