コーヒーと化学反応の関係

コーヒーを作る材料と言えば、コーヒー豆とお湯。
様々な器具を使うとしても、必要な材料は焙煎したコーヒー豆とお湯があれば作ることができる。
コーヒーは至ってシンプルな飲み物で、だからこそ、その必要不可欠な材料のコーヒー豆とお湯の原料である水の品質によって大きな差が生じる。

まず、コーヒーを淹れるにあたり、コーヒー豆を抽出器具に合わせて挽く必要がある。
抽出器具に合わせる、というのはどういうことか?

コーヒー豆の表面積が多くなればお湯と接する面が増えるので、コーヒー成分が多く抽出される。
コーヒー豆とお湯の接する時間が多い程、コーヒー成分が多く抽出される。
つまり、コーヒー豆を挽いた時に、粉の粒が粗いものと細かいもので抽出に差が生じ、コーヒー豆とお湯が長時間接するのか、短時間接するのかという抽出時間によっても差が生じる。
この差を知っているかどうかで、かなり味わいに差が出る。

ということは、お湯の原料の水は何が良いのか?
基本的には浄水をおススメしている。
日本では軟水がどこでも入手でき、水道水を浄水フィルターで塩素を取り除くことで十分おいしいコーヒーを作るためのお湯が用意できる。
硬水でコーヒーを淹れると別の化学反応が起こるため、同じ豆でも違った風味になるので、注意が必要。
シンプルな材料で作られるコーヒーは、実はコーヒー豆とお湯の化学反応でできている。そんなことを知ると、コーヒーの違った側面が見えてくる。

コーヒーの美味しさは化学反応ゆえのもの。だからこそ、コーヒー豆の鮮度や保存方法にも影響を受ける。
おいしいコーヒーを追求することは、化学反応抜きにはできない。

コーヒーの木が育つ環境が、コーヒー豆に与える影響も、コーヒー豆の精製方法も、コーヒー豆の焙煎も、全てが化学反応の産物。
一杯のコーヒーが出来上がるまでに、どれほど多くの化学反応が起こっているのか…そう考えると、産地、品種、農園、精製法、焙煎、抽出の全ての過程に起こる化学反応は、奇跡の一杯を生み出す演出の一つのように思える。

最高の一杯に出会えた時の感動の裏には、こんなにもたくさんの奇跡のような化学反応の過程がある…そう感じられるコーヒーに出会いたい。

投稿者プロフィール

中島靖代
中島靖代コーヒーライター
某大手コーヒーチェーンにて、9年間バリスタを経験。
コーヒーセミナーをはじめ、アルバイト教育も実施。コーヒーと言えばエチオピアというほど、エチオピアコーヒーを愛してやまないコーヒー愛飲家。